SORACOM IoT レシピ:IoTで荷物を追跡したい
Android 内蔵 IoT エッジデバイス Acty-G3 で、GPS と BLE ビーコンを用いた荷物追跡
公開日: 2021年5月
レシピ難易度:★★☆☆☆
社内便や商品の配送など、荷物の追跡には GPS を良く利用しますが、オフィスビルのフロアや工場内の特定地点など GPS では判別が難しいときには BLE(Bluetooth Low Energy) ビーコンを併用します。ビーコンは自身の情報を無線で発信するため、検知したい地点にビーコンを配置しその情報を受け取るデバイスが近づいてその情報を受信することでビーコン配置地点との関連付けができます。本レシピでは、 GPS と BLE の両方に対応する Acty-G3 でそれぞれの情報を SORACOM に送信し、容れ物の位置から社内便に預けた荷物がどこまで届いているのかを追跡する IoT システムを作ります。

利用するSORACOMサービス
サービス名 | 概要 |
SORACOM Harvest Data | データ収集・蓄積サービスです。位置情報の保存先として利用します。 |
SORACOM Lagoon | ダッシュボード作成・共有サービスです。SORACOM Harvestに保存した位置情報を使ったダッシュボードを作成するために利用します。 |
本レシピを行うのに必要な時間、概算費用
本レシピは以下の通りです。
- 必要な時間: 約60分
- 概算費用: 約24,100円
※ 概算費用: ハードウェアや SORACOM を始めとした各種サービスの概ねの費用 (送料などの付帯費用や無料枠適用は考慮しないものとしています)
このコンテンツの進め方
上から内容を読み進みながら作業を行なっていきます。また左サイドに追従する目次からページ内の移動が可能です。
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準備
デバイス
品名 | 数量 | 価格 | 備考 |
Android搭載IoTエッジデバイス Acty-G3 スターターキット | 1 | 23,980円 | 本キットにはSORACOM 特定地域向け IoT SIM(plan-D nano データ通信のみ)が同梱されています。 |
BLEビーコン | 検知したい地点数分 | – | iBeaconフォーマットを出力できるBLEビーコンを使用します。本レシピで動作確認した BLE ビーコンは、サンワサプライ社の MM-BLEBC7 を利用しました。 |
パソコン | 1 | – | インターネット接続が可能でサイトへの接続が自由であること。Google Chrome 等の最新ブラウザーが利用可能な事。 |
USB-C データ通信ケーブル | 1 | – | アプリの設定値を変更するために、Acty-G3 とパソコンとの接続時に使用します。パソコンの USB インターフェースに合わせて USB-C – USB-A ケーブルと USB-C – USB-C ケーブルのどちらかを準備します。 |
プラスドライバー No.0 | 1 | – | 裏蓋を外れにくくするためのネジが付属しているので、必要に応じて準備します。精密ネジのため、No.0を利用します。 |
ポケット付きの容れ物 | 1 | – | 位置を追跡したい物品を入れるためのケースやバッグです。 Acty-G3 を入れておくためのポケット付きのものが良いでしょう。 |
※ 金額はレシピ作成時となります。金額は税込み・送料別です。
ご購入について
ハードウェアは以下よりご購入いただけます。
- Android搭載IoTエッジデバイス Acty-G3 スターターキット
- BLE ビーコン / MM-BLEBC7
その他必要なもの
必要なもの | 費用 | 作成方法など |
SORACOMアカウント | 無料※ | SORACOM アカウントの作成 (JP) |
※ アカウント作成・維持の費用の料金です。
Acty-G3とは

本レシピで使用する Acty-G3 は Android 搭載の IoT エッジデバイスです。プリインストールされるGPSトラッカーアプリとBLEスキャナーアプリのほか Android アプリの追加開発※ で自由に機能が追加できます。電池稼働のコンパクトサイズのため、人が持ち運んだり物に取り付けての動態管理に向いています。いずれのプリインストールアプリも、取得したデータをSORACOM Unified Endpointに送信するため、SORACOM Harvest Dataおよび SORACOM Lagoonによるデータ可視化をすぐに試すことができます。
※ 追加開発は製造・販売元のCYBERDYNE Omni Networks社にご相談ください。
実装の流れ
以下のステップで実装を進めていきます。
ステップ | 概要 |
SORACOM Harvest Dataの設定 | データを保存するためのSORACOM Harvest Dataの設定をおこないます。 |
デバイスキッティング | Acty-G3にSIMをセットし動作を確認します。 |
SORACOM Lagoonの設定 | SORACOM Harvest Dataに蓄積したデータを可視化するためのSORACOM Lagoonの利用設定をおこないます。 |
ダッシュボードの作成 | SORACOM Harvest Dataへ保存されたデータをもとにSORACOM LagoonでGPSとビーコンデータを確認するためのダッシュボードを作成します。地図上に位置情報をマッピングしていきます。 |
SORACOM Harvest Dataの設定
SORACOM の IoT データ収集・蓄積サービス SORACOM Harvest Data を利用して、データの可視化を簡単に実現してみましょう。
まずはグループの作成と、作成したグループへ SIM を所属させる事から始めます。
SORACOM Harvest Data とは?
IoT デバイスからのデータの収集や蓄積、およびファイルを保存するサービスが SORACOM Harvest (ソラコム ハーベスト) です。IoT デバイスからのデータの収集・蓄積対応しているのが SORACOM Harvest Data、画像ファイルやログファイルといったファイルに対応しているのが SORACOM Harvest Files となります。
グループとは?
SORACOM サービスのほとんどがグループという単位に対して設定するようになっています。SORACOM Harvest Data 等、SORACOM サービスのほとんどが SIM に直接設定をするのではなくグループに設定をします。そして、SIM をグループに所属させることで SORACOM サービスが利用できるという間接的な仕組みです。
グループを作成してから SIM を所属させる方法の他、グループの作成と SIM の所属を同時に行う方法もあります。本レシピでは後者の「同時に行う」手順で進めていきます。
SIMグループの作成とSIMの追加
SORACOM ユーザーコンソールにログインした後[Menu]>[SIM 管理]とクリックして SIM 管理画面を開きます。

SORACOM Harvest Data でデータの収集を行いたい SIMにチェックを付け、[操作]>[所属グループ変更]とクリックします。

「新しい所属グループ」のプルダウンボックスをクリックした後、[新しいグループを作成…]をクリックします。

「グループ作成」のグループ名を入力して[グループ作成]をクリックします。
項目 | 例 | 備考 |
グループ名 | Acty-G3 | 自由に入力可能です。日本語も設定可能です。 |

新しい所属グループが先ほど作成したグループになっていることを確認したら[グループ変更]をクリックします。

自動的に SIM 管理画面に戻ります。
SIM の「グループ」に先ほど作ったグループが設定されていることを確認してください。

以上で、グループの作成と所属の作業は完了です。
SORACOM Harvest Dataの有効化
SIM 管理画面から、利用するSIMに割り当てたグループ名 (Acty-G3) をクリックします。

[基本設定] >[SORACOM Harvest 設定]をクリックしメニューを開きます。

「SORACOM Harvest 設定」で以下のように設定します。
項目 | 設定値 | 備考 |
(スイッチ) | ON | ― |
スイッチはクリックすることで OFF から ON に切り替えることができます。

最後に[保存]をクリックしてください。
その後表示される「SORACOM Harvest が有効になっています」のダイアログでは[OK]をクリックしてください。
以上で「SORACOM Harvest Data」の設定が完了しました。
デバイスキッティングと動作確認
SORACOM IoT ストアで提供する Acty-G3 には、SORACOM を利用するための APN の設定と SORACOM Unified Endpoint にデータを送信する Android アプリがインストール済ですので、SIMをセットしてアプリを実行すればデータを送信できます。
Acty-G3 本体の裏蓋を開け充電池を外すと、 SIM を入れるスロットがあります。スロットは2つありますが、向かって右側が SIM スロットです。スロットのホルダーを上にずらしロックを外して開け、 SIM カードの端子を下に向けて切り欠きを左上にスロットにはめます。

ホルダーを閉じ、下にずらしてロックします。

充電池をセットし、裏蓋を閉じます。裏蓋を固定するために同梱のネジをプラスドライバーで取り付けます。

本体左側の電源ボタンを押し、上部 LED (電源)の点灯を確認しデバイスの起動を数分待ちます。
上部 LED が点灯しない場合は充電池が放電しているため、付属のDC-USBケーブルをUSB充電器(別売り)に接続し充電を行ってから、ご利用ください。

続いて本体右側の①ボタンを押し、 GPS アプリの起動(中央の LED の赤点灯)を確認します。 LED が点灯しない場合はデバイス起動中のため、しばらく待ってから再度ボタンを押します。
これで、SORACOM HarvestへのGPSデータ送信が開始しました。続いて本体右側の②ボタンを押し、BLEスキャナーアプリの起動(下部LEDの赤点灯)も確認します。各アプリのデータ送信仕様は以下の通りです。
アプリ名 | 設定項目 | 表示項目名 | 初期値 | 備考 |
GPSトラッカーアプリ | 送信間隔 | Interval Setting | 60秒 | 秒単位で設定 |
GPSトラッカーアプリ | 実行時間 | Time Limit | 60分 | 分単位で設定、0で継続動作 |
BLEスキャナーアプリ | 送信間隔 | Interval Setting | 30秒 | 秒単位で設定、最小10秒 |
BLEスキャナーアプリ | 実行時間 | Time Limit | 60分 | 分単位で設定、0で継続動作 |
初期値からの設定変更はパソコンに接続し、Android の画面表示ソフトウェア上で変更します。「補足 : アプリ設定値の変更」を参照してください。
また、Acty-G3の基本操作は以下の通りです。
- Acty-G3 の起動と終了 : 電源ボタンの長押し
- GPS トラッカーアプリの実行と終了 : ①ボタンの短押しで実行/終了、また実行時間が経過すると自動で終了
- BLE スキャナーアプリの実行と終了: ②ボタンの短押しで実行/終了、また実行時間が経過すると自動で終了
GPSデータの確認
SORACOM ユーザーコンソールの SIM 一覧画面より Acty-G3 にセットした SIM を選択し [操作] > [データを確認] を選択します。

画面右上の「自動更新」スイッチをオンにし、しばらく待って GPS のデータが表示されることを確認します。画面左上のグラフ選択から地図マーカーのボタンをクリックすると、地図およびGPSデータの地点が表示されます。

合わせて BLE スキャナーアプリのデータも画面下部のデータ一覧に表示されます(位置データでは無いため、地図にはプロットされません)。
SORACOM Lagoonの設定
GPS とビーコンの両方のデータを可視化するダッシュボードとして、SORACOM Lagoon を有効化していきます。
SORACOM Lagoon 用語解説
ここで SORACOM Lagoon で使われる用語を解説します。
用語 | 意味 |
プラン | SORACOM Lagoon の契約プランです。プランによって機能と料金が異なり、今回は無料の Free プランを利用します。SORACOM Lagoon のご利用料金に機能や料金の比較表があります。 |
SORACOM Lagoon ユーザー(Lagoon ユーザー) | SORACOM Lagoon へログインするためのユーザー( ID とパスワードの組)です。 SORACOM ユーザコンソールへのログインとは異なるユーザ一覧となり、皆さん自身で登録・削除が可能です。ダッシュボードやパネルを編集できる「編集可能」と表示専用の「読み取り」の2段階の権限を設定できます。作成可能数はプランによります。 |
リソースの種類 | 表示するデータの種別です。SORACOM Lagoon では以下の4つの中から選び、その中からノード(SIMや回線)を選択します。 ・Air = SORACOM Air for セルラー (SORACOM IoT SIM) ・Lora = SORACOM Air for LoRaWAN デバイス ・Sigfox = SORACOM Air for Sigfox デバイス ・Device = SORACOM Inventory デバイス 今回はSIMなので、「Air」の SIM を選択します。 |
パネル (Panel) | パネルはデータを表示する領域です。データソースとメトリクスを指定すると、そのメトリクス(たとえば SIM )のデータをパネルで使えるようになります。様々なパネルが存在します。 |
ダッシュボード (Dashboard) | 複数のパネルを束ねて「1枚の画面」にしたものがダッシュボードです。共有の画面表示単位となります。 |
アラート (Alert) | リソースのメトリクスデータに対して条件を設定し、その条件を満たしたら通知を行う仕組みの事です。 |
データリフレッシュ | SORACOM Harvest から SORACOM Lagoon へデータが反映される事、もしくは反映タイミングとなります。反映タイミングはプランによります。 |
SORACOM Lagoonの初期設定
SORACOM ユーザーコンソールの[Menu]>[データ収集・蓄積・可視化]>[SORACOM Lagoon]とクリックします。

[SORACOM Lagoon の利用を開始する]をクリックします。

プランのうち Free の[選択する]ボタンクリックし、[次へ]をクリックします。

SORACOM Lagoon ユーザーの初期ユーザーに設定するパスワードを入力した後、[利用開始]をクリックします。

SORACOM Lagoon ユーザーの初期ユーザの ID は?
ID は SORACOM ユーザコンソールにログインしたときのメールアドレスが使われることになります。そのため、ここではパスワードのみ設定することになります。SORACOM ユーザコンソールへのログインとは異なるパスワードを設定する事を強くお勧めします。
利用開始がクリックできない場合は?
パスワードの条件が不足しています。全てに✔がつくようにパスワードを設定してください。
SORACOM Lagoon の有効化に成功すると、以下のように SORACOM Lagoon コンソールへのリンクが表示されます。この画面を SORACOM Lagoon 管理画面と呼びます。

SORACOM Lagoon 管理画面は [Menu]>[データ収集・蓄積・可視化]>[SORACOM Lagoon]で表示する事ができます。
[SORACOM Lagoon3 コンソール]ボタンをクリックし SORACOM Lagoonコンソールを表示します。
SORACOM Lagoon コンソールへのログイン
メールアドレス (SORACOM ユーザコンソールへログインする際のメールアドレス) と、SORACOM Lagoon 初期ユーザ作成時に利用したパスワードでログインします。

ログインに成功すると、以下のような画面が表示されます。

背景を白くしたい
SORACOM Lagoon の標準では背景が黒となっています。これは設定で変更が可能です。左下のアイコンにカーソルを合わせて表示される[Preferences]をクリックします。
設定画面に “UI Theme” を “Light” に変更して[Save]ボタンをクリックすると、背景が白くなります。
SORACOM Lagoon でダッシュボードを作成する (ダッシュボードのインポート)
SORACOM Lagoon では、可視化画面となるダッシュボードに複数のパネルを1つずつ作成して画面を作り込んでいきますが、ダッシュボードの表示項目は JSON 形式で記述されたモデルから一括でインポートすることもできます。作成したいイメージに近いサンプルダッシュボードをインポートできれば、作成の時間を短縮できその後自身の好みにカスタマイズできます。
Acty-G3 にセットしている SIM の IMSI を控える
SORACOM ユーザーコンソールの SIM 管理画面より「詳細」をクリックし 15 桁の数字の IMSI を控えておきます(このあとの手順で使用します)。


サンプルダッシュボードを利用する
ここでは、インポートのためのテンプレートを作成します。Acty-G3 のサンプルダッシュボードを開き、「このダッシュボードを使う」をクリックします。当ページでは、SIM の IMSI をもとに Lagoon ダッシュボードのテンプレートを作成します。

先ほど控えた IMSI を入力し、「テンプレートを作成する」をクリックします。

続いて「テンプレートのインポート」画面では「クリップボードへコピー」、「SORACOM Lagoon でインポート」をクリックしてください。なお、今後のために保存しておきたい場合は「JSON ファイルとしてダウンロード」利用してください。

「SORACOM Lagoon でインポート」をクリックすると、Lagoon のインポート画面に遷移します。「Import via panel json」に先ほどクリップボードにコピーした JSON を貼り付けてください。Windows の場合は Ctrl + V
、Mac OS の場合は ⌘ (Command) + V
で貼り付けできます。[Load]ボタンをクリックして進めます。
JSON ファイルが貼り付けられなかった場合は、再度先ほどのサンプルダッシュボードのページよりコピーしてください。

インポートの詳細画面に遷移します。Harvestで「Havest」を選択し、「Import」ボタンをクリックしインポートを実行します。

「Access denied to this dashboard」と表示されることがあります
[Folder] で「General」を選択して [Import] をクリックすると、「Access denied to this dashboard」と表示されますが、動作に影響はありません。
すでに Lagoon でダッシュボードを作成している場合、「作成数の上限に達しています」と表示される可能性があります。不要なダッシュボードがあれば削除した後、再度インポートしてください。削除できるダッシュボードがなければ、プランのアップグレードを検討してください。プランごとの料金は、SORACOM Lagoon のご利用料金を参照してください。
インポートに成功すれば、ダッシュボードが表示されます。

各パネルはそれぞれ以下のデータを表示します。
– GPS : Acty-G3の位置情報を地図にプロットして表示
– ビーコン1〜3 : Acty-G3がBLEビーコンを検知したら緑色のアイコン、検知しないと灰色のアイコンを表示
– データ一覧 : Acty-G3が送信したデータを表形式で表示
設置したビーコンの AdvA(Advertiser’s Address) をビーコンパネルに設定しましょう。ビーコン1 パネルのタイトルをクリック、[Edit]を選択しパネルの編集画面を表示します

画面左側中ほどの[Transform]タブをクリック、[Filter data by values]内の AdvA を BLE ビーコンの AdvA に書き換えます。
BLE ビーコンの AdvA の確認方法は、ビーコンの取扱説明書などを参照してください。ビーコン裏面のラベルに印字されることがあります。

このパネル設定は、 Acty-G3 が送信する AdvA 一覧に指定の AdvA が含まれる数をカウントし、0 なら灰色、 1 以上は緑色のアイコンを表示します。
画面右上の[Apply]ボタンをクリックし設定を反映します。
設置した数だけ繰り返します。4 個以上の場合はビーコンパネルを複製(パネルのタイトルをクリックし[More…]-[Duplicate]を選択)して設定します。
以上で全ての設定が終了です。
実運用に向けてのヒント
ここまでで IoT システムの動作を確認してみました。実際に活用していくためのヒントを2点示します。
デバイスの設置
社内便の容れ物の位置を追跡するために、 Acty-G3 の取り付け方法を検討しましょう。本体にストラップホールはありませんので、コンテナやバッグなどのポケットに入れて利用するのがおすすめです。

電池の持ち時間は気温や電波状況なども影響するため、利用予定の環境に近い状態で動作時間を計測し、充電頻度、充電はどのタイミングで行うかなどを検討します。
複数個用意しローテーションで運用する方法も有効ですが、 Lagoon ではデータを SIM 単位で区別するため、対応付けの検討が必要になることを留意しましょう。
BLEビーコンは、社内便のチェックポイントとして集配場所や一時置きするラックなど検知したい場所に設置します。 BLE の電波が Acty-G3 に届けば良いので、物陰など目立たないところに置いて問題ありませんが、金属製のケースや棚の中など電波が遮蔽される場所には置けません。
本レシピでは、BLE ビーコンの機種に依存する機能は利用していません。動作確認した BLE ビーコンとして、サンワサプライ社の MM-BLEBC7 があります。
アプリ設定値の変更
アプリの初期値では一定時間の経過でアプリが終了するため、アプリを常時実行するように設定変更を検討します。また、データ通信量を押さえるためにデータ送信間隔を長くするときも、同様の設定変更を行います。Acty-G3のアプリ設定変更はパソコンと Acty-G3 を USB で接続し、一般の Android 画面表示ソフトウェアからアプリの設定を変更します。今回は Android 画面表示ソフトウェアの例として、複数の OS に対応する Vysor の手順をご紹介します。
Vysor 公式 Web サイトの[Download]リンクから、パソコンの OS に対応するインストーラをダウンロード、インストールします。macOS の場合は、 Vysor-mac-x.x.x.dmg
ファイル(x.x.xはバージョン番号)をダウンロードし、開きます。

Vysor アプリケーションを Applications フォルダにドラッグ&ドロップでインストールします。

macOSの Launchpad から「Vysor」をクリックし、アプリケーションを起動します。警告メッセージが表示される場合は、その指示に従いつつ「開く」をクリックします。

以下の画面が表示されたら、インストールと起動は完了です。

Acty-G3 の USB-C ポートを USB-C データ通信ケーブルで PC/Mac に接続するとVysor の「Android Devices」の表示が変わるので、赤い再生ボタンをクリックします。

Acty-G3 のAndroid の画面が表示されました。設定変更したいアプリをクリックし、設定を変更して「SET」ボタンをクリックすれば設定変更が反映されます。常時実行するには、各アプリの Time Limit
を 0
に設定します。

あとかたづけと注意事項
本レシピでは費用がかかるサービスを利用しています。
本項をよく読み、必要な操作や解除作業を行うようにして、想定外の費用が掛からないようにしてください。
費用について
ここで記載している金額は全て税込み、送料別となります。
SORACOM プラットフォームの利用料金
サービス/機能 | 料金 |
SORACOM Air (plan-D) | 基本料: 11円/日通信料: 0.22円~/MB |
SORACOM Harvest Data | 本機能を有効にしたグループに所属する1SIMあたり5.5円/日 (2000リクエスト/日/SIMを含む)2000リクエスト/日を超えた分は0.0044円/リクエスト |
SORACOM Lagoon | 今回は Free プラン(無料)を使用しました。 |
データ通信量について
今回のデバイスはAndroid搭載のため、Android OS や Android アプリの更新に伴う通信が発生します。更新データ量に応じたデータ通信料金が発生することにご注意ください。
無料利用枠について
SORACOM サービスでは一部サービスにおいて無料枠が設定されています。たとえば SORACOM Air for セルラーであればアカウント毎で30円/月の通信分や、SORACOM Harvest Data であれば31日分の書込みリクエストが無料利用枠です。料金詳細に「無料利用枠」として掲載されていますので、ご確認ください。
グループ解除
SORACOM Harvest Data 等、「機能が有効になっているグループに所属している SIM × 費用」となっているサービスにおいては、「機能を OFF にする」することで費用の発生を抑えることができます。またもう1つの方法として「グループに所属している SIM の数を減らす(= 解除する)」事でも費用を抑える事ができます。
グループ解除の方法はグループからの解除 (JP)をご覧ください。
SORACOM Harvest Data のデータ削除(任意)
SORACOM Harvest Data は基本的にはデータ保管料は無料※です。そのため、保存しておいても害はありませんが、デモ等で利用する際にはデータを綺麗にしておく必要が出てくるため、データ削除について解説します。
※発生から40日を超えたデータは削除されます。40日以上データを保管したい場合はデータ保持期間延長オプション利用料金をご利用ください。
SORACOM Harvest Data 画面 ([操作]>[データを確認]) のデータテーブルで、削除したいデータのチェックボックスを付けた後に[削除]をクリックします。表示されたダイアログで改めて[削除]をクリックすると、削除されます。
※ 複数のデータにチェックをつければ一括で削除可能です。

データの復元はできませんのでご注意ください。
SORACOM Lagoon の解約
SORACOM Lagoon はオンラインで解約が可能です。 Free プランであれば有効化しておいても費用は発生しませんが、長期に渡って利用しない場合には解約も選択いただけます。
解約の方法はSORACOM Lagoon の解約(JP)をご覧ください。
次のステップ
本レシピでは Acty-G3 と BLE ビーコンによる高精度な位置トラッキングシステムを作りました。この後の発展形について解説します。
スマートフォンからの閲覧(データの共有)
SORACOM Lagoonはスマートフォンやタブレットからの表示に対応しています。外出先や他の方との情報共有に利用可能です。スマートフォンで見た時の様子がこちらです。

Maker および Pro プランなら、閲覧専用ユーザーを作ることができます
SORACOM Lagoonの上位プラン「Maker」もしくは「Pro」であれば、閲覧専用ユーザーを作成できます。これにより、情報共有の範囲や運用の柔軟性を高めることが可能です。詳しくはSORACOM Lagoon のご利用料金をご覧ください。